
いや・・長くワイン屋をやってますが、こんなの・・初の経験です。2020年・・ある意味では本当に奇跡のヴィンテージですし、アイテム毎に全く違うし、造り手でも、アペラシオンでも全く異なる訳でして、
「こんなの、飲んでみなきゃ絶対判らない!」
訳ですよ。
しかし販売側は飲みもしない、調べもしないで右から左で左団扇状態ですから・・。インポーターさんも多くはそうです。数が無いからと開けない訳ですね。だから何も判らないから、毎年リリース時に出している使い回しのテクニカルをそのまま掲載して受注して配送して・・はい、良かった・・次!です。いや、フィネスさんは違いますよ。キッチリ・・開けてます。凄いですね・・だから noisy もお零れに預かれる訳です。
色を見てみましょう・・。やや濃い目でしょうか。それでもパスグラのような「どっか~ん」と濃い感じには見えませんよね。しかし、何とも純粋なだけの色彩では無く、ちょっと何か薄いフィルムを通してみたような景色に見える気がします。
実はこれ・・アルコール分が15.5%なんです。ですから、グラスを伝う涙が・・滅茶苦茶に流れているのが見えるかと思います。上が先に撮ったもの、下がその次ですから、スワリングしないまでもグラスを横にして注いでますから・・時間差でここまではっきり涙が見えるのかと思います。
で・・そのアルコール分の強さなんですが・・正直に言って、
「実は実際飲んだ後もさほど強いとは思わなかった。」
んですね・・。これには noisy も驚きました。まぁ・・「検出器」なんてあだ名を(どんな意味?)付けられたことも有りますから、少し強いんだろうとは思っていました。でも普通に美味しいバランスでした。なので、
「どれどれ・・」
とエチケットのアルコール度を見て・・顎が外れました・・(^^

「・・マジか~・・」
です。
通常ですとINAO でも「ペケ」を言い渡しかねないアルコール度数ですが、2020年の特異な質だとして不問だったと思います。
しかしながらもっと驚くべきはそのバランスなんですよ。
今までのヴィンテージにおいて、このようにアルコール分の高いアイテムも有った訳です。そのようなワインをテイスティングしますと、酸が無く完全にアルコールが勝って果実を抑え込んでいる・・しかもバランスも味わいもイマイチ・・です。でもそんなワインも5年も経過するとそこそこ以上にバランスして来る・・
しかし、このルジェさんのジュヴレ(この下のレ・グレーヴもそうですが)は、
「最初からエレガントで美味しい!」
んですよ・・。アルコール分の高さが特に気にならない・・15.5度も有って・・ですよ?・・
ですので noisy も、今までの感覚を少々修正する必要に追い込まれてしまった訳です。単にアルコール分が高いからと言って、最初から敬遠してはいけない・・と言うことですね。大昔のブルゴーニュ・ピノ・ノワールは、
「アルコール分が出る イコール グレートワイン」
なんです。
しかし昨今の温暖化や異常気象で、ブルゴーニュワインはローヌ化するんじゃないかと懸念さえされるようになっています。
この村名ジュヴレですが・・「そんな懸念に一言申し上げる」的な分水嶺のワインじゃないかと思います。チェリーの良い感じの果実感、ルジェらしい突出しないミネラリティと色っぽいアロマ、樽使いの素晴らしさ、中域の膨れ具合の美しさ・・そして凄い伸びの良い味わい・・これは飲んでいただかなければ判らないでしょう。ただし入手可能なのは数人のみです・・すみません。安くは無いですが高く無いと思います。少なくとも、鈍重な村名ジュヴレでは有りません。ご検討くださいませ。