【こうなって来ると「アリゴテじゃなぁ・・」では無くて、「アリゴテじゃ無いとなぁ!」とおっしゃり始めるに違い無い、トンデモポテンシャルの凄い白です!】

今までもアリゴテで素晴らしいワインを造っていたドメーヌは有ります。先日古いものが出て来たアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのプランタスィヨンもそう、どこかのドメーヌはつい最近までアリゴテでコルシャルを出していたと白状したようですし・・。まぁ・・ドメーヌ・ルロワのアリゴテで関心したことは無いですが、noisy はその昔、
「コシュ=デュリは(高いから?)アリゴテで充分!」
などと言っておりまして、それでも入って来なくなってしまったので、お客様も余りご存じないかもしれません。
で、昨年ご紹介させていただいた2020年もののアリゴテ・レ・グラン・シャンV.V.をお飲みになられたかたなら・・
「アリゴテでもシャルドネを超えうる!」
と感じておられると思うんですね・・noisy だって、この1万円以上するとんでもなくド太いボトルに入ったアリゴテを始めて見た時には、
「・・大丈夫かぁ?」
と思った訳ですが、少ないところを無理やり開けて、そのアロマを一嗅ぎしたとたん・・
「マジか!?」
と、すっかりやられてしまいました。

そしてこの2021年もの、余りに数が無いんですが、アリゴテとしては2アイテム有り、飲むなら昨年は無かったこのオ・ブティエールV.V.にしようと・・レ・グラン・シャンV.V.は昨年飲めたと言うことで、今回は今のところ開けていません。
濃密でぎっしり。余白さえまだ創造していない半端無いアリゴテです。シャルドネよりも幾分低い重心から上部へ向けて、途方も無い伸び方をしてくれます。
オイリーでバタリー、黄色、白、オレンジの果実、花、スパイスと半端無い量のミネラリティがノーズとして、塊として、石のように、砂のように、粉のように入って来ます。
まるで優しく語り掛けてくるような要素の風情と、その理知的な表情は繊細で柔らかく、とても精緻です。隅から隅までぎっしりと詰まった膨大な量の情報に埋もれ圧倒されますが、あくまで優しく理知的です。
「ん~!・・惚れた!」
きっとそうおっしゃるでしょう。もはや複雑だとか、完全だとかはどうでも良く、その心地良い声にも似た訴えかけに溺れていく・・そんな抽象的な言葉だけで良いと思います。重厚だが軽快です。ぜひ、ギルベール・ジレ沼、アリゴテ沼にハマってください。超お薦めします!
以下は2020年ブルゴーニュ・アリゴテ・レ・グラン・シャンV.V.のレヴューです。
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【オーダーメイドの一点物並みの凄い白ワイン!・・アペラシオンも品種も超えた超絶に高質で細部まで見事なまでに磨き上げられた美しさに驚かれるでしょう。】

このヴィジュアルですよ・・。良くもまぁ・・こんなワインが造れるものだと感心してしまいました。しかもたった1年目のワインで・・。
聞けば、超一流の造り手を渡り歩いて修行をしたそうで・・デ・ランブレイ、ド・モンティーユ、ギガル、トリンバック、オー=ブリオン...じゃぁ、かのヴァーゼンハウスの2人ともお友達なのかもしれません。悪いように捉えてしまえば、
「そんなにアチコチで修行したところで、自身でそれぞれの出来事をきちんと理解していなければ障害にしかならないんでは?」
等と言う見方さえできてしまいます。
そして・・あの、惜しまれてドメーヌを閉じてしまったジャッキー・トルショとも旧知の仲だそうで、様々な教えが有ったのでしょう。ただし、
「ワインの芯の部分はどうか判らないが、少なくともジャッキー・トルショ=マタンの赤ワインとは全く異なるタイプ」
で有ることは間違い在りません。しかし、ギルベール・ジレのワインにはジャッキー・トルショのモレのワインの姿が、彼が捉えた姿として投影されているのかもしれません。
濃い目の黄色・・実に内部の要素の凝縮感が感じられます・・が、それは「探って」からようやく判ること。マッタリもしていますが、マッタリしていると感じる前に、余りに流れるような高貴な美味しさに思わず・・うっとりしてしまいます。

蜜っぽさも有ります・・ですが、それもまた後で気付くことです。余りのバランスの良さに・・素晴らしさだけが感じられるのです。
果実、柑橘のフレーヴァーも素晴らしいです。同じように・・様々な表情を拾い始めて、分析して初めて気付きます。
結果として、フィネスが半端無く、超高質な白ワインだと・・判断するしか無いんですね・・。
もし、アリゴテだから・・と・・ネゴスものだから、1年目で情報も無いから・・と、最初から除外してしまったら、こんなに凄いワインを見逃すことになります。
樽だって・・感じますよ。フィネスさんのテクニカルでは「新樽を使わない」とされていますが、新樽では無いにせよ・・
「とんでもなく目の詰まった極上の材の、非常に心地良い影響を得た液体である」
と・・誰もが気付くんじゃないでしょうか。それとも、目の前で演出される素晴らしい世界観に、ただただ酔いしれるだけで終ってしまうかもしれません。
この20年、飲んだアリゴテで、間違い無く最高のワインです。
「1万円は高い!」
と思われているのであれば、それはアリゴテだから・・とか、アペラシオンが・・とかの、正確な判断には全く余分な情報が有るから・・でしょう。あのラミーのクリオ=バタールだって、
「モンラッシェと付くグラン・クリュで最低のアペラシオンでしょ?」
と思ってしまえば、まだ3万円台で購入出来た将来の100点ワインを見逃していたはずです。
因みにフィネスさんのテクニカルでは、
「シャサーニュ=モンラッシェ村の「les GrandsChamps(レ・グラン・シャン)」という区画の葡萄で特級モンラッシェから斜面を東に降りて行った先にある日当たりの良い粘土石灰質土壌の畑」
と有りますが、noisy の記憶が確かならば、モンラッシェの畑から東に行くのなら、シャサーニュ側のル・モンラッシェから東に行くのが正しいのならバタールを経て、シャサーニュは通らずピュリニー=モンラッシェにしか行かないので、
「東に降りたところのレ・グラン・シャンが正しいのなら、ピュリニー=モンラッシェ村名クリュのレ・グラン・シャン?」
の可能性も有ります。シャルドネなら村名だが、アリゴテなので・・と言うパターンは有ります。しかしこれはあくまで未確認情報、noisy の勝手な憶測に過ぎませんので悪しからず。
もしこのワインをセラーで5年ほど放置出来れば・・物凄い表情に出会えるはずです。今飲んでも呆れんばかりの高質さとエレガンスですが、きっとその時は・・(^^;;
2021年ものが楽しみでしようがありません。この、
「どこまでも完璧にできてしまう1年目の新人が、さらに幾つかのドメーヌ畑を得て、2021年ものをどのように仕上げてくるか・・」
です。
それよりも・・このワインをどうにかゲットされ、飲んでいただけることを希望しています。どうぞよろしくお願いいたします。