[ oisy wrote ] 赤白約20品種混植のフィールド・ブレンドとのことですが、製法、色味的に赤ワイン寄りだと思っていただいた方がいいかと思います。ただしその色味はかなりクリアーで透明感を持ち、白ブドウがブレンドされていることは見た目からもわかります。
最近、マルセルダイスのラルシュやクロヴァロンのレ・ザンディジェーヌなどのワインを飲ませていただき、「フィールド・ブレンドのワインにしかない良さ」があると感じております。
それは色んなブドウ品種由来の味がする、ということではなく、「様々な特徴を持ったブドウ品種が一体となった時の美しさ」が素晴らしいということです。単一品種がピアノの独奏とするならば、さながらオーケストラのような感じです。お、ちょっとうまいこと言えたかもしれません。
とにかくピュアな、赤い果実です。そこに探せば、アンズ、オレンジ、枇杷、アメリカンチェリー、金木犀、バラ、ラベンダーなど様々な要素が入り乱れています。
しかし不思議と一体感があり、じゃあ誰がこれを指揮しているのかといえば、この土地のミネラリティ、すなわちテロワールだと思います。
バティストの他のワインを飲むと、全体的にツヤ感のあるミネラリティを感じます。このワインも白ブドウ由来の透明感かな、と思っていましたがそれだけではなく、石灰系のミネラリティ由来の透明感もあるような気がします。ですのでどのワインもはっきりと「赤い果実」が主体に来ます。
またこのワインを飲んでイメージしたのはヴァーゼン・ハウスの激うまグラン・ドルディネールです。「弾けるような赤い果実の旨みとピュア感」がよく似ていて、テクニカルを見るとセミ・マセラシオンカルボニックを用いているところから手法的にも近しい感性で作られているのかなと思いますが、ヴァーゼンハウスは親しみやすいワインを造るという目的で導入しているかと思いますが、バティストはこの区画のブドウには「この手法が良い」ということで採用しているように感じます。というのもこのワインが他のバティストのワインと比べて飛び抜けてエレガンスを持っているからなんですね。
そしてほぼ気づかない程度の甘さがあります。果実のあまやかさと僅かな残糖、そして果実酸の旨みがワイン全体をまとめ上げています。この「あまみが激うま」です。(ワインとしてはドライ・・・いや中口というのが適切かと思います。)
そしてこのワインも揮発酸は僅かにありますが、問題ないです。むしろこのワインに関しては他のワインよりも揮発酸以外の要素が先んじて上がってきているので(セミ・マセラシオン・カルボニックの影響かな・・・)今時点で最も安定してきています!
ただし激ピュアですので、温度管理にはお気をつけくださいませ。14度前後での保管が推奨です。20度を超えると劣化の恐れがあります。昨今スーパーなどで色んな理屈をつけて「生ワイン」と謳っているものを散見しますが、こういうワインこそ「生ワイン」と言いたくなりますね!ご検討くださいませ。